民謡バンド Ezo'n（2018年11月15日）Folk Song Band Ezo'n（15 Nov, 2018）

今宵は魔法にかけられて！！

Ezo'nのメンバーとサポートメンバーの方々が、カジュアルな服装でステージに登場され、開演を心待ちにしていた来場者の方々から拍手が起こると、これから奏でられる演奏に、期待で胸が一杯になりました。

個人的に民謡に馴染みはありませんが、Ezo'nのコンセプトである「老若男女楽しめる民謡」を肌で感じたいと思い、その機会を得ることができた今宵のステージに、突き上げるような喜びが胸を貫きました。

和楽器の繊細かつ力強い音色と洋楽器の純粋な音色が融合した旋律に乗せた、三人の歌姫による喨々とした凛々しい歌声、そして歌姫のソロ、さらには男侍による粋な楽器演奏など、多彩な演出となっていました。

また、12月にEzo'nの新しい「CD」を発売するとの告知があり、その「CD」には、今回のライブで披露された楽曲なども収録されているとのことでしたので、是非、発売を楽しみにして頂ければと思います。

スタートの「波声音頭」から、来場者の方々の手拍子が鳴り響く盛り上がりとなり、歓喜が電流のように全身を通り抜けましたが、これはあくまで始まりに過ぎず、これ以降の楽曲へ連綿と続いていきました。

伝統音楽である「民謡」をポップにアレンジした楽曲は、軽快で心地良く、生演奏による大迫力の音色と民謡の力強くて麗しい唄声が織りなす「和音」は、自然と手拍子を叩きたくなる、楽しさ溢れる音楽でした。

三人の歌姫が奏でる、民謡で培われた胸の奥から湧き上がる、張りと深みのある華麗な唄声は、生命力に満ち溢れていて、大地に融ける雪のように心に沁み込み、「生の躍動」を吹き込まれている感じがしました。

和楽器と洋楽器の対照的な響きが奏でる独特な旋律も、斬新な音の空間を作り出していて、とても印象的でしたし、また、和太鼓のしんたさんの軽快なトークは、来場者の方々を和ませ笑わせるものでありました。

三人の歌姫に負けまいと、男侍が披露された渾身の楽器演奏も格好良く、津軽三味線の新田昌弘さん作曲のオリジナル曲「風花」は、津軽三味線や和太鼓、尺八の和楽器の素材が持つ命を音で響かせた美曲でした。

歌姫のソロでは、加藤恵理奈さんは哀愁漂うように、佐々木優子さんは詩情を感じるように唄われ、また、留里ちゃんは「石狩川流れ節」を情景豊かに唄われ、三人の歌姫が個々の優美な唄声を披露されました。

さらに、来場者の方々も一緒に「合いの手」を行う楽曲もあり、その際は会場一帯で盛り上がるなど、全体を通して、ポップでパワー溢れる楽曲に彩られた、臨場感たっぷりのライブは、大盛況でありました。

Ezo'nは結成からこれまで6年の道のりを歩んできたとのことで、個人的には今回が初めてのライブでありましたが、これから歩んでいく新たな道のりを、今後も少しでも一緒に体感していきたいなと思いました。

アンコールには、Ezo'nのオリジナル曲が披露され、色彩感のある風が吹きつけたように、華やいだ気分になり、最後は来場者の方々の気持ちを温かく潤し、「ハートフル」な心地へと誘い、終演となりました。

今宵、奏でられた音楽は、かつてない世界に導かれているような感覚を抱く、これまで聴いた音楽とは全く異なる、尽きない泉のように気持ちが沸き上がる、「楽しい民謡」を全身で体感することができました。

Ezo'nが独自に創り上げた「和ポップ」な楽曲は、民謡に馴染みの深い方々は勿論のこと、民謡に馴染みのない方々まで幅広く、「楽しい民謡」を来場者の方々の心の奥深くに伝え、届けてくれるものでした。

例えれば、故（ふる）きを温（たず）ねて新しきを知る「温故知新」のように、日本各地で継承されてきた民謡を大切にしつつ、新しい民謡を創り上げ、そこに込められた想いが、心に響き渡る素敵な楽曲でした。

津軽三味線や和太鼓、尺八などの和楽器は、全て自然界の物（竹や木材等）で造られており、奏でられる音色は生き生きとしていて、神聖な雰囲気があり、自然界の様々な音を表現するのに適した楽器であります。

民謡は日本各地で継承されてきた時の流れと歴史の重みがあり、大地の息吹を感じる唄声は雅やかで、和楽器の音色と民謡の唄声が織りなす楽曲は、日本の美しい「自然風景」が思い描かれるものでありました。

Ezo'nが奏でる音楽は、日本人が心に抱える懐かしい風景を感じさせる、情景豊かな和心溢れる素敵な世界であり、そこに存在する全てを「楽しい」という想いで優しく包み込む「魔法的な力」がありました！！

～ Ezo'nマジックにかかった初冬の一夜より ～

【開催地】北海道札幌市 エルマンゴ